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大学政治学教授は「危うしアジアのエネルギー資源」で「今後十年のうちに白動車ブーム、生産全般の伸び、そして航空運輸産業の拡大という三つの強力な要因が中国の石油需要を大きく拡大させるだろう。
九四年の中国の自動車生産はわずか三一十五万台でしかも固有企業向け。
しかし、二億人を超すと思われる中国の中産階級が自家用車を所有したいと望むのは明らかだし、政府も人民車計画でこれを支援している。
この国が十二億人の人口を抱えていることを考えれば、長期的には三億台の車が道を走ると考えてもおかしくない」としている。
傾聴に値する警告というべきだろう。
事態はその方向に向かって進行中だ。
再編の渦中にある日本の自動車業界にとっては期待の市場ということになるが、一方でエネルギー問題の側面からは歓迎ばかりもしていられない問題となる。
中国の石油事情最大の課題はこの消費にあるが、問題はそれを支える生産の師でも生まれてきている。
中国の石油生産といえば多少事情を知る人は大慶油田を挙げるに違いない。
それに勝利油田あたりか。
いずれも日本でもよく知られた油田である。
なかでも大慶油田はその生産規模からも中国を代表する油田であり、中国全土の生産量の約四割を占めている。
中国の石油生産量は九四年、約一億四千六百万トンだった。
興味深いのはこの八割程度が黒龍江省、山東省、それに遼寧省の三省に集中していることで、大慶油田は黒龍江省に、そして勝利油田は山東省にある。
このほかには新彊ウイグル自治区のタリム盆地、湖海湾、南シナ海などがあるが、全体としてその生産は順調とはいえないようだ。
大慶油田にもピーク説が出てきている。
大慶油田は一九五九年に発見された。
ハルピン市郊外にある大慶油田は六〇年代から七〇年代にかけて増産につぐ増産を続ける。
ここから「工業は大慶に学べ」というスローガンさえ生まれた。
この大慶油田は基本的には年間五千万トン体制が維持されているのだが、問題はその中身、かなり無理をした二次回収が行われているとされているほか、生産維持は周辺部の小油田も加算されての結果という見方もある。
少なくとも大増産が期待できるような状態ではないことはまちがいないようだ。
大慶原油の特色はパラフィンが多く、常温ではほぼ固形だが、なんといってもその魅力は低硫黄であることで、日本もこの点に目を付け、火力発電、生だき用に輸入しているが、年間八百八十万トンから九百三十万トンもあった輸入量はぐっと減ってきている。
これが国内需要増の圧力なのか、生産面での問題なのか、その点不透明なところもあるが、日本のエネルギー問題にも影響があることは事実であり、注目される動きといえよう。
中国がアジアの、いや世界のエネルギー情勢に大きな影響を与えることは多くの専門家の認めるところだが、なかで重要なのは石炭である。
中国の石炭問題がどう展開するかで中国のエネルギー問題はその五向が決まってくる。
それもそのはず、中国は石炭王国といってよく、中国の石炭依存度は約七五%に達している。
中国の石炭依存度が高いのはその豊富な埋蔵量に加えて、その埋蔵がほぼ全土に渡るという事情があるからで、中国のエネルギーは石炭といってしまって過言ではない。
中国の石炭生産・消費は中国の経済発展に比例して増大し続けてきた。
生産ベースでは建問当時の一九四九年には約三千二百万トンだったのが、七〇年には三億五千万トン、さらに九〇年には十億八千万トン台を突破、九三年には十一億五千万トンに達した。
この生産量は世界一であり、世界の石炭生産の約三割を占める。
日本がこの間にエネルギーの流体革命といわれる時期を通過、石油への傾斜を強め、さらには原子力へと動いてきたのに対し、中国は石炭王国の道をつき進んだわけである。
中国は第二次十か年計画で年間約三千五百万トンの増産を続け、二〇〇〇年には年間十五億トンの生産計画でいるが、最近はかならずしもその増産が順調でないとされる。
それに経済開発の進展で石油需要の強まりがあり、中国の中東外交強化が目立ってきているということも指摘されている。
それにこれまでの増産から埋蔵量にも問題が出てきている。
いわゆる可採埋蔵畳一は世界平均が約百六十六年とされているのに対し、中国の可採埋蔵量は約六十年とされて、環境問題を視野に入れると石炭王国の内情はかならずしも安泰とはいかないようだ。
それでも量的には世界の埋蔵量が約五兆二千億トンといわれるなかで、中国は約六千二百二十億トンとされ、一割を占めていることもまちがいなく、石炭が中国のエネルギー問題の中核であることは当面変わらないだろう。
中国の炭鉱は全国に広まっていることは事実だが、規模の大きな石炭埋蔵は北部あるいは東北部に集中している。
特に北部の埋蔵量が大きく、全体の六割以上を占めているとされている。
当然、生産も同様で三割程度がこの北部からだ。
東北部を合わせた同地域からの生産は半分を占め確かに石炭は中国全土に分布しているのだが、先に挙げた偏在も事実であり、産業政策の観点からは重大な問題となってきている。
決して広いとはいえない日本でも、石炭は北海道、九州から消費地の東京などへの輸送が大問題になったことがある。
中国の広さでこれが問題にならないはずがない。
石炭生産が北部の山西省などに集中しているのに、消費地は北京、河北省、福建省、さらには広東省などの南部という状況だから、否応なく長距離輸送を強いられる。
中国にとってこの石炭輸送は大きな問題なのである。
これは中国の輸送状況を見ればわかる。
中国の貨物輸送に占める石炭の比重が極めて高いのだ。
少し古い資料だが、九三年の石炭輸送は約九億五千万トンで、これが全体の輸送量のコ三%を占める。
中国の物流の約三割が石炭ということで、これを鉄道輸送でみると約四割に達してしまっている。
鉄道以外にはトラックなどの道路輸送、さらに船による船舶輸送などだ。
さらに問題なのは輸送距離だ。
鉄道、道路、水運の平均で約六百三十キロメートル、鉄道だけだと五百六十キロメートル、そして水路だと千五百キロメートルに達する。
中国にとってこの問題はエネルギー問題の壁になりつつあるという見方さえある。
現実に問題も発生している。
九一年、山西省に約七百万トンの在庫がありながら輸送問題で南部の火力発電が発電できなくなるという事態が発生した。
輸送能力が追い付かなくなってのトラブルだった。
こうした複雑な事情を抱えている中国の石炭問題だが、中国は石炭の輸出国で日本は最大の顧客だ。
日本のほかは韓国、台湾などが中国から石炭を輸入している。
石炭は石油と違いアメリカ、オーストラリア、南アフリカなど先進国に生産国が多く、比較的安定した供給体制が確立されているとされているが、中国は果たしていつまで石炭愉出国でいられるのか。
それによってアジアの、世界のエネルギー情勢は相当の影響を受けるだけに、中国の石炭輸出を中国のエネルギー事情を知るバロメーターという専門家もいる。
中国自身もこれを承知のようで石炭開発への外資導入を積極的に進めつつある。
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